その他:プレスポの弱点(エンド幅の話)
リアホイールのハブ軸固定幅をフレームのリアエンド幅と呼ぶ。
現在、エンド幅は、ロードでは130mmで、MTBでは135mmが多用される。
ちょっと古い規格では126mmと言う物があり、またシングルギアでは120mmが用いられる。
素材的に粘りがあるクロモリフレームなどでは126mmエンドのフレームを130mmに広げたり、逆に130mmを120mmにして使うことも一応可能だったりする(多少の強度的問題は発生するかもしれないが、素材のしなりで分散されるので、この程度はごまかせる)
が、プレスポは硬質アルミなので、エンド幅を直接いじったりするとフレームにクラックを生じたり、強度的問題が発生したりする(粘りが低いので強度的に弱い接合部にひずみが集中して、破断の原因になったりする)のでこの手の改造はオススメ出来ない。
また、リムサイズとして、プレスポは700Cが採用されているが、700Cは通常ロードで用いられるサイズで、MTBは26" H/Eが用いられる。 タイヤ装着時の外径はほぼ同じなので、700Cフレームに26"ホイール、またはその逆を入れても普通は走行可能なのだが、「タイヤのアレコレ」で書いたビードのサイズが異なり、ビード径を表すETRTO規格で言うと、700Cは622(mm)であり、26" H/Eは559なので、当然ビードを固定するリムの径も異なり、リムブレーキを用いているプレスポではリムのサイドウォールの位置が大きく異なるためにブレーキが合わないのだ(ディスクブレーキなどであれば気にせずに済むのだが)
このため、エンドが135mmでリムが700Cのプレスポはホイール部分の中でまでMTBとロードの中間というクロスの特性を示してしまっていて、完組ホイールの選択肢がかなり制限されるので、ホイールのアップグレードを考えたときには少ないクロス用から選ぶか、手組を選ばなければならないので、将来のアップグレードも考えると弱点と言える(ただし、クロスバイクの多くは135mmエンド700Cであり、R3の様な130mmエンドの方が少ない)
ちなみに、エンド幅が広がったのは、単純にスプロケの幅が広がって来てしまった(段数増加)のが原因と言える。
126mmエンドの頃は最大7s程度のスプロケまでしか無かったのだが、HGチェンではチェン幅は~8sでは共通の厚み(つまり同じチェン)なので、8sに対応するためにはスプロケをチェン1枚分厚くしなければならなかった。
しかし、エンド幅が変われば最もお金のかかるフレームを変えなければならず、結果的にユーザの容易なアップグレードが出来なくなってしまうので、出来ればエンド幅は変更したくない。 そこで、近年の9s,10sへの段数増加ではチェン幅を狭くしていき、8sと9sではスプロケ幅は同一、10sに至ってはなんと8/9sよりも薄くなっている(まぁ、薄くするのはチェンの動きを大きくしたくないと言う機構的要因や、クランクの交換を促したいと言うマーケティング的要因もあるだろうが; 8s用のクランクセットで9sチェン位は普通に変速出来るが、10sチェンとなると薄すぎてチェンリングの間に嵌ることがある)
チェン幅の減少は、変速機構の調整をシビアにしたり、チェンや伴って薄くなるギア板の耐久性低下を招くこととはなっているが、割と容易にアップグレード出来るのでユーザにもメリットは確かにある。
スプロケの装着に関しては、前述の通り8sハブはそのままでも9sと兼用出来るし(故に通常8/9sハブとされる)、スプロケ装着部の幅が広ければ、それよりも薄いスプロケについてはスペーサを噛ませることで対応出来るので、極薄いスペーサーを噛ませると10s、ソコソコの厚みのスペーサで7sにも対応可能と非常に汎用性に富み、10sハブでも幅がオーバー気味ではあるものの8/9sスプロケも何とか取り付け可能なのでラージギアのMTBミックスコンポにして遊ぶとか言うことも可能だが、7sハブではスプロケの幅が完全にオーバーしてしまい7sスプロケしか取り付けられず、8sのシフター・スプロケを入手したとしても、ホイールも用意し直さないとアップグレード不能となってしまうので、エントリークラスを購入する場合でも、リア8s以上の物を購入しておいた方が後々幸せである。
ただし、市販のロード用完組ホイールは、ハブを改造することでプレスポにも装着可能であったりする。 改造もそれほど難しくなく、必要な物はMTBハブ補修部品のアクスル(軸)とQR、ホームセンター等で売られるワッシャーである。
アクスルは、「ハブのグリスアップ」の記事で書いたように簡単な工具で抜き取ることが出来る。
で、抜き取ったアクスルに変えてMTB補修部品の135mmアクスル(実際には左右4~5mmずつ乗せる仕様なので143~145mm程度ある)を使い、玉押しとロックナットの間にワッシャーを噛ませて組み直すのである(※アクスルはM9とM10が流通しているので玉押しやロックナットも交換する必要が出る場合もある)
この方法の場合、ワッシャーの左右枚数を合わせないと、センターがずれてブレーキングに問題が出るので注意が必要なのと、スプロケがセンター寄りになるためRDの調整が必要になる点は問題である。 また、高級品ではアクスルが普通と違ったりすることもあるが、プレスポに付けるような価格帯の物では殆ど気にすることはない。
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