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2017年04月04日

固体潤滑剤の話

 最近のケミカルでは結構いろんな固体潤滑剤が選べるけど、その特性はどうなのよと言うことで代表的な物について記述。

自転車専用系でよく利用される物
・PTFE(テフロン)
・BN(セラミックグリス系)
汎用系でよく利用される物
・二硫化モリブデン
・グラファイト

 抵抗、即ち単純な転がりやすさの指標で言うと、PTFEと二硫化モリブデンが摩擦係数0.04で優秀、その下にグラファイトとBNが0.06で存在。 抵抗値なので低い方が抵抗が低い。
 耐圧、即ちどれくらいの力をかけても潤滑出来るかという指標で言うと、PTFEは200、BNは300、二硫化モリブデンは800、グラファイトは500(各MPa)である。 面荷重なので、大きいほど大きい力がかかっても潤滑出来る。
 温度耐性は、PTFEが250度、BNが700度、二硫化モリブデンが350度、グラファイトが550度。 化学変性するので、この温度を超えると別の物質になって特性が変わる。
 色として、PTFEやBNは白、グラファイトと二硫化モリブデンは黒。

※但し、耐圧は高ければ良いという話では無い
 固体潤滑剤は、固体がつぶれて分子の結びつきが切れることで滑っている。 即ち結びつきが切れるまでは滑らないから、低負荷ではあまり滑らず高負荷で滑るため、高すぎると表面の負荷は上がることになる。 但し、自転車で固体潤滑剤オンリーで使用することは無く、グリス等に添加するため、ソコソコの負荷ではグリス自体の効果、高負荷やグリスの劣化時に固体が補助するという動きになるからそこそこ高い分には問題無い。

 全体的な性能では二硫化モリブデンが最強クラス。 摩擦係数が低く、耐圧が一番高く、温度耐性ソコソコ。 ただし、比重はPTFEの2倍あるから重い、しかし使用量を考えると誤差。 黒いから汚れがわかりにくいのが難点 → 有機モリブデンなら黄色で汚れがソコソコわかる。
 有機モリブデンは、固体潤滑が有効になるレベル(高負荷状態での油膜切れによる温度上昇)で二硫化モリブデンに変性するため、性能としては二硫化モリブデン同等の高さ。
 自転車定番のPTFEは耐圧・温度が低いけど、自転車ではそんなに影響しない程度のレベル。 白色だからハブ軸など汚れがわかりやすいので使いやすい。
 BNはPTFEより耐圧・適用温度が高いけど抵抗はやや高い。 白色だからPTFE同様に使いやすいのだろう。
 グラファイトは微妙なバランスに見える。

 単純に安くて性能が高い物が必要ならホムセンで買える有機モリブデンウレアグリスが400gジャバラ1000円位で最強。 二硫化モリブデンだと更に安いけど汚れがわかりにくいのでイマイチ。
 定番はやっぱりPTFEで汚れがすぐわかる、同様だけどジャンプとかで荷重が高い場合はセラミックもあり。 グラファイトは出番が無さそう。

 最近登場した呉の自転車用セミウェットに液化チタンと言うやつが書かれている。 液化と言うから個体と違うかというとそうでもなく、有機モリブデンと同様の作用で働く有機チタン化合物で、六方晶系構造のチタン化合物らしい。
 グラファイトや二硫化モリブデンも六方晶系構造を持つ物質で、この構造はズレやすいために潤滑性を持つことが多い。

PTFE系定番グリス


セラミック系定番グリス

※フィニッシュライン製品としてはPTFE+BNという両配合で、低負荷状態ではPTFEの転がりの良さ、高負荷状態ではBNが耐えるという2段階になっている

有機モリブデン系

※一般工業製品だけあって激安。



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Posted by Kingfisher at 19:59│Comments(0)
 
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